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YG~ガーディアンズ~プロローグ

どうも皆さん、しょうやんです。

今回、YG生誕5周年ということで作品を書かせていただくことになりました!
それでは、↓をクリック!





第0話 「ビギニング・デイズ」


 グレーの空の真下、一台のバスがある場所に向かって走っていた。そしてバス停に停まり、しばらくするとまたどこかへ走って行った。
 「ここでいいんだよな?」
 {高木 アラタ}は改めてバス停の看板に目をやった。

 {テクノダイス・ジャパン 本社ビル前}

 「さてと、今の時間は・・・」
 「あの~」
 アラタが声のした方に目をやると、一人の少女が立っていた。
 「国安特機隊パイロット採用試験の会場は・・・」
 「このビルみたいだぜ。」
 「あ、ども。」

 見たところ、自分より2~4歳ぐらい下だろうか。そう思いながら時計に目をやった。

 8:45

 「やべっ!あと15分だっ!」
 「マジでっ!」

 二人は大急ぎで、ビルの中に入っていった・・・



 所変わって港・・・

 {刃型目 太蔵}はパトカーの中で通信機を手にしながら、目標が来るのを待っていた。

 自分の率いる警察仕様のワークス{NF-5 メットマン}が周囲の警戒に当たっているが、どうも落ち着かなかった。
額の汗が落ちると同時に、通信機からノイズ交じりの声が響いてきた。

 「警部!奴が現れましたっ!」
 「距離はっ!」
 「およそ9m!海上警備隊の防衛網を突破した模様ですっ!」
 「総員、配置につけぇ!奴が来るぞぉっ!」

 彼の掛け声と同時に部隊は移動を開始した・・・


 時を同じくして・・・

 二人の男が工場の中を歩いていた。


 「しかしまぁ、相変わらず変わんねえなぁ、神沢。」
 「その方が安心でしょ。で、例の奴は?」
 「あぁ、後はソフトウェアの最終調整をやりゃ動かせるぜ。」
 「そっ。」
 {神沢 浩平}は目の前に横たわる巨人に目をむけた。最初見たときは、ちょっと驚いたが今ではだいぶ慣れてきた。
 「調整が終わり次第、八王子駐屯地に輸送を開始する。」
 「で、あれがあいつ等専用の乳母車か・・・」
神沢の指差す方には、{29式ターボキャリア}が3台並んでいた。
 「ところでさぁ、岩崎さん。」
 「ん、なんだ?」
 「これ3機導入すんのにさ、黒いこれが関わったって噂聞いたんだけど、実際はどうなの?」
そう言いながら神沢は、指でお金マークを作って見せた。
 「言えねえな、そいつは企業秘密だ。」
 「ふ~ん」
神沢は腕時計に目をやると、岩崎の方を向いた。
 「んじゃ、俺はそろそろ行くよ。卑弥呼ちゃん待たせてるし。」
 「そうか、気をつけろよ。」
岩崎はその場を去った神沢の後ろ姿を見守った後、巨人の方に歩いて行った・・・



 アラタはなんとか意識を保ちながら、シュミレーションポッドから降りた。
敵の攻撃を避け反撃しつつ、目的地まで向かう。通常の軍用ワークスの訓練と同じ内容だったが、反応が早すぎるうえにシートがグルグル回るためついてくのに必死だった。
あれは人間の乗る物ではないだの、頭がおかしくなりそうだの先程試験を受けた者達から様々な感想が飛んできた。中にはポッドから出てきた直後にトイレに直行する者もいた。

 「次、試験№97番」
 「はいっ!」と、元気の良い返事と共に一人の少女がポッドに乗り込んだ。先ほどアラタと共に試験会場に駆け込んだ少女だ。
あいつ・・・大丈夫かな・・・そんなことを思いながら、隣の奴に目を向けた。
おそらくアラタと同年代なのだが、サングラスをかけてるためか年上にも見えるのが不思議だ。アラタは再びポッドの方に目を向けた。
ポッドの搭乗口が勢いよく開き、少女が降りてきた。そしてアラタの隣まで来ると、笑顔でVサインをして見せた。
 「次、試験№98番」
 「はっ。」男は静かに立ち上がるとシュミレーションポッドに向かって歩いて行った・・・


 翌日、一台の車と3台のキャリアが高速道路を抜け、八王子に入った。

{・・・続いてのニュースです。昨日、お台場港付近で警視庁ワークス部隊と怪獣との戦闘がありました。交戦の末、怪獣は海へ逃亡、ワークス部隊は4機中3機損傷。
内2機は中破したとのことです。現在、海上保安庁が追跡を行っているとのことですが・・・}
神沢は車のラジオを聴きながら、龍角散のど飴を口に入れた。
 「卑弥呼ちゃん、いる?」
 「今はいいです。」
{海棠 卑弥呼}はまっすぐと車を走らせ、八王子駐屯地の駐車場に停めた。

 「ここが、我々国安特機隊の基地ですか・・・」
 「そう、ここが俺たちの基地さ。」

改めて周りを見渡してみると、普通の自衛隊駐屯地とあんまり変わらない。専用ハイウェイの入り口がある点を除けばだが。
 「神沢、もうすぐ終わるぞ。」と、神沢に声をかけたのは{田嶋 四駆郎}国安特機隊整備班長である。
 「ありがと、班長。」
 「あとは・・・」
 「そろそろ着くはずですが・・・」
卑弥呼がそう言った同時に一台のバスが基地に入ってきた。
 「来たか・・・」
バスは6人を降ろすとまたどこかへ走り去っていった。

 6人とも神沢達と同じ青と黒の隊員服を身に着けている。6人は神沢と卑弥呼の前に来ると、整列し敬礼をした。2人も続いて敬礼をする。
「よく来たな。これより、各ポジションを発表する。」

 「1号機パイロット、エレン・東条寺」
 他の隊員達より一回り小さい少女である。
 「2号機パイロット、高木アラタ」
 名前を呼ばれたアラタは敬礼をした。
 「3号機パイロット、速水 亮」
 サングラスをかけた青年も続いて敬礼をする。
 「1号キャリア担当、山崎 徹」
 メガネの青年も敬礼をした。
 「2号キャリア担当、岡田 千博」
 こんな名前だが、男である。
 「3号キャリア担当、岸川 マリナ」
 長身の女性が敬礼をする。
「以上、お前達は今日より、国家安全特殊機動部隊の隊員としてこの国の安全を守る立場になった訳だ。」

 「さてと次は・・・」
そう言いかけた時、電話が鳴り響いた。
 「はいもしもし・・・そうです、神沢です・・・はぁ?・・・さいですか・・・で、我々にどうしろと?・・・わかりました。では」
神沢は電話を切ると、アラタ達に向いた。
 「突然で悪いが、我々に出動命令がかかった。」
 「俺たちに・・・ですか?」
 「そう。なんでも昨日、警察が取り逃がした怪獣が横浜に出現したそうだ。と言うわけで早速で悪いんだけど、退治してほしいんだってさ。」
 「まぁ、大丈夫。実戦訓練だと思ってやってくれればいいよ。」
 「でも、あんまり熱くなりすぎないように、以上。」

 「了解っ!」
隊員全員がキャリアに向かって走っていくのを見ながら神沢は指揮車に乗り込んだ。卑弥呼も続いて乗り込む。
 「本当にいいんですか?」
 「一回の実戦は何百回もの訓練に勝るからね。」
卑弥呼はため息をついたが、すぐに前を向いて指揮車を走らせた・・・


 西暦2025年、日本は作業用ロボット{ワークス}の開発に成功。
ワークスは瞬く間に世界中で大ヒットし、今や日本はアメリカに並ぶ世界経済の中心となっていた。
しかし、それは同時に日本を狙ったテロ、ワークスを利用した犯罪、さらには架空の産物と思われていた怪獣災害までをも生み出したのである。
警察や自衛隊だけでは対抗しきれないと判断した日本政府は{国家安全特殊機動部隊(国安特機隊)}の設立を決定。

 そして、これはそんな国安特機隊に入隊した若者達の物語である・・・

 第1話に続く・・・